新年のご挨拶
旧年中に賜りました様々なお力添えに心より御礼申し上げます。
本年は喪中の為、慶賀のご挨拶は控えさせて頂きますが、有縁の皆さまのご多幸と如来さま方のご加護が届くよう、本尊前に祈念申し上げております。
今年の干支である「龍」は、長い尾、二本の角、八十一枚のウロコを持ち、天空を自在に飛び回る霊獣として知られ、龍の一族の王は「八大龍王」として仏法守護の天人さま方の中にも、その名を連ねています。
お釈迦さまお誕生の際、天空から甘露水を灌いでその聖体を洗い清められたのもこの龍王であり、お釈迦さまが瞑想をされる間、自らの体を傘として風雨から守護する姿が仏像にも表されています。
「龍虎」と称されるように、虎と並んで強さを象徴する「龍」ですが、実は常に「三熱の苦」に苛まれて暮らしていると経典に説かれます。一つには熱風熱砂に身を焼かれる苦、二つには暴風により衣服を剥ぎ取られる苦、三つ目は、天敵である金翅鳥(こんじちょう)(ガルーダ)に喰われる苦だそうです。
いかなる強者も「無常の風」には抗えぬということの象徴とも思えます。
だからこそ龍の王者さえも、この「無常の苦」からの解脱を説く仏さまを讃え、その御教えを喜び、守護しようとしているのです。
私たちも調子の良い時ほど思い上がりの心を戒め、仏の御教えに耳を傾けて参りましょう。
令和六年 正月一日 東光山 醫 王 寺