本堂東側高台の薬師堂には、東方浄瑠璃世界の教主、薬師如来さまがお祀りされています。お薬師さまは、身心の病苦を除いて仏道に導くことを中心に12の大願を誓われた仏さまです。左手に持った薬壺から仏法の薬を与え、病の元を断ち切ってくださいますので、お医者さまの王の意味で「大医王尊」の別名があります。医王寺の名もこれに由来するものです。
山号の「東光山」もお薬師さまの瑠璃光浄土が東方に存在することから付けられたものです。
鷲野谷のお薬師さまの霊験は名高く、特に耳と目の病に効験がありました。なぜなら、法話を聞いて仏の教えを受け取るのには耳が聞こえねばなりませんし、教えが書かれたお経を読むのにも、仏さまのお姿を拝むにも、目の力が不可欠だからでしょう。身体の不自由が理由で、覚りの道からこぼれ落ちてしまう者を何とかして救おうとお慈悲を向けてくださる仏さま、それが薬師如来さまです。
かつては門前に遠方からの参拝者を泊めるための宿屋があり、「薬師灸」というお灸を据えてもらうことができたと伝え聞いています。お薬師さまのご霊像は、12年に一度、寅年にのみ御開帳されます。
また明治期にご活躍された当地出身の高僧 山﨑弁栄上人が、三七日(21日間)不眠不休の参籠念仏を修された道場も、この薬師堂でした。
秘仏薬師如来御開帳
お薬師さまのお像は、普段はお厨子の中に納められています。お姿を拝めるのは12年に一度の御開帳のときに限られます。お薬師さまには、私たちをどのようにして救うかを誓われた12の大願(誓願)があります。長い歳月をかけてご修行と誓願をすべて成し遂げ、仏となってお姿を現わす。そのことを象徴して儀式化したのが、12年ごとの御開帳法要です。
御開帳にお参りできることは誠に尊いご縁といえます。ぜひ貴重な仏縁を結んでください。
薬師堂祈願法要について
お薬師さまの12大願にちなんで、毎月の12日のご縁日(午後1時より)に、薬師堂で新型コロナウイルス終息祈願の法要をお勤めしております。コロナ禍の今こそ、お薬師さまに御力を発揮していただくべき時です。また私たちがお薬師さまの願いを学び、病の原因となる行いを戒めることが、今後パンデミックの収束に繋がります。どうぞご参加ください。